第79章 【縁下 力】あの頃描いた未来
「ふぅ・・・」
食事を終えて、私は自室に戻った。
そしてカバンの中から書類を取り出した。
今日進路指導の先生から頂いた書類には、英語で記載された大学名。
そう。私は海外の大学への進学を勧められていた。
昔から英語が大好きだった。
小さい頃から両親は海外に行く機会をたくさん作ってくれた。
小・中学校の頃は、何度もホストファミリーにお世話になった。
高校では2年の時、交換留学で3か月間留学もした。
将来は通訳になるのが夢だった。
先生は私の実力なら、向こうの大学で学んだ方が夢への近道だと言ってくれた。
前までなら、すぐにでもイエスと答えていたと思う。
けど…。
私はスマホの画面を見つめた。
待ち受け画面には去年のクリスマスにツリーの前で力と一緒に撮った写メ。
「・・・4年も離れるなんて、無理だよ」
私は書類を再び茶封筒に入れ、机の上に置いた。