第78章 【烏養 繋心】Flavor
「・・・誰かいたんですか?いい人」
「は?」
「今日の合コンですよ」
向こうも何も話さないし、少し気まずく感じたのでこっちから話しかけた。
「・・お前こそどうなんだよ」
「私、玉の輿狙ってますから。田舎の三代目には興味ないんです!」
私は嫌味を言ってプイとそっぽを向いた。
「お前…なんか、可哀そうな奴だな」
憐れんだような目で私を見る彼に無性に腹が立つ。
「はぁ?26歳にもなって、金髪にカチューシャの人に言われたくありません!」
「はぁ!?こっちの勝手だろ!?お前こそ、玉の輿夢見るってバカなんじゃねーの?東京出身だからって調子のんなっ!」
私達はマンションの前で大ゲンカをした。
最後の方はもう、何を言っているのか分からなくなった。
疲れ果てて、私たちは呼吸を整えた。
はぁ。とため息をついた彼が、ちょっと待ってろ。とどこかへ行ってしまった。
数分後、戻ってきた彼は片手に缶コーヒーを二つ持っていた。
「ほら。・・・なんか、悪かったな」
私にカフェオレを渡した後、彼は帰って行った。
送ってもらって、カフェオレまでもらったのに、ありがとう。も言えないまま。