第78章 【烏養 繋心】Flavor
「すいません。私そろそろ帰ります」
私はたらふく食べた後にそう言って席を立った。
「あっ、俺も帰るわ」
そう言って同じくお財布からお金を出したのは、金髪カチューシャの烏養さんだった。
「もう帰んの?」
「あぁ、明日も畑仕事あるしな」
彼はそう言って店を出て行き、私もその後を追った。
「お前、家どっち?」
私が最寄駅を伝えると、送って行く。と歩き出した。
先ほどから何度もタクシーが通っているのに止める気配がない。
「あの…タクシー乗らないんですか?」
「はっ?タクシー乗る距離じゃねーだろ?」
「えっ?送って行くって歩いてですか?普通タクシーじゃないですか?」
お互い目を合わせて、こいつ何言ってるんだ?と言う表情を見せた。
最悪だ。
今まで男性に送られる時はいつもタクシーだった。
もしくはタクシー代をもらっていた。
歩いて送って行く。
高校生じゃないんだから。
私は先を歩く彼の背中を見てため息をついた。
「あの・・・タクシー乗りません?」
私の提案に彼は一度こちらを見た後に目線を逸らした。
「これくらいの距離歩かねーと太るぞ。今日お前、すげぇ食ってただろ」
うっ…と私は今日の飲み食いを思い出す。
「よっ、余計なお世話です!!」
何なのこの人。女性に対して失礼じゃない!?
いい年して、金髪にカチューシャだし。
こういう人、本当無理!!
私はムッとしたまま、家までの道を歩いた。