第77章 【影山 飛雄】アンダンテ カンタービレ
「ねぇ、王様。今日ひろかの家に行くんでしょ?アレ・・使うわけ?」
部活後、月島がいつものムカつく態度で話しかけてきた。
「・・・なんで知ってんだよ」
「ひろかとは、王様よりも長い付き合いだからね~。ひろかは俺に何でも言うんだよね~」
そう言って月島はにやりと笑った。
ひろかと月島は幼馴染ってやつで、家もすごく近い。
正直、それは気に食わない。
「お前に関係ねぇーだろっ!」
俺はすぐに着替えを済ませて部室を出た。
帰り道にスーパーに寄り道して、飲みものを買い、ひろかの家へお邪魔した。
初めて入る彼女の家はキレイに掃除がしてあって、白を基調としたとてもおしゃれな家だった。
「飛雄、お誕生日おめでとうっ!!」
ひろかの手料理が並べられた食卓テーブルに腰を掛ける。
「これ、一人で作ったのか?」
「・・・うんっ!」
きっと昨日の晩は寝ないで仕込みをしてくれていたんだろうと思うとすごく心が温かくなった。
「「いただきます」」
ひろかの手料理はどれも美味しくて、俺は残さず全て食べ切った。
「お茶持っていくから先に部屋に行ってて」
そう言われ、俺は荷物を持ってひろかの部屋へ向かった。