第77章 【影山 飛雄】アンダンテ カンタービレ
「どうかした?具合でも悪い?」
心配そうに俺を見るひろかは、まさか俺がこんな卑猥なことを考えてるなんて微塵も思っていないだろう。
「いや、なんでもねぇよ」
俺はそう言って、そっぽを向いた。
「そっか。・・・でね、飛雄の誕生日なんだけど・・・うちに来ない?」
「・・・はっ!?」
俺は急なひろかの誘いに驚いてしまった。
「その日ね、お父さんもお母さんも親戚の結婚式で家にいないの。だから…どうかなって」
“ひろかだって、もしかしたら不満に思ってるかもしれねぇだろ”
この間言われた言葉が頭を過る。
「・・・あぁ。じゃぁ、行く」
俺はそう言って、カバンの中にしまってあるアレを外からぎゅっと握った。