第9章 【月島 蛍】兄貴はずるい
「蛍ちゃ~ん。入っていい?」
夕食を食べ終えて、兄貴とひろかは近くのコンビニに出かけた。
一緒に行こうと誘われたけど、
兄貴と楽しそうにしているひろかを見れるとなんか腹が立つから断った。
「…だめ!」
「なんで~?」
どうせ、断っても入ってくるんでしょ?
僕は部屋のドアを開けた。
「はいっ!これ蛍ちゃんの分!」
ひろかは2つに分けるタイプのアイスを半分にし僕に差し出した。
僕はベッドに腰を掛け、ひろかはベッドのフレームを背もたれに
床のクッションの上でアイスを食べ始めた。
ひろかのいつもの定位置だった。
「蛍ちゃん、おいしい?」
知っている。ひろかはいつも僕が好きな味を買ってくること。
「…これ、すごいカロリー高いの知ってる?
ってか、最近ひろか太ったんじゃない?」
口に含んだアイスを飲み込んだ後、
残りのアイスをこちらに渡してきた。
「お腹いっぱいだから蛍ちゃんにあげる!」
ハハ。と笑う僕に、拗ねた表情を向けるひろか。
すると、ドアのノック音が聞こえた。
「ひろか~?さっき言ってた参考書見つかったぞ~?」
ドアの向こうには参考書を持った兄貴が立っていて、
ひろかはすぐにドアの方に駆け寄った。
「あき兄、このアイスあげるー!蛍ちゃんに太ったって言われた~」
兄貴は半泣きになったひろかをなだめた。
「ハハハ。ひろかは太ってないよ。むしろ、俺はもう少し太った方が好みかな」
「エロ兄貴…」
ひどいな~と笑って、兄貴は部屋に戻っていった。
その後をつけてひろかも僕の部屋を出た。