第74章 【岩泉 一】私の言う事は・・・?
「今日、らーめん食って帰ろうぜ!」
次の日、部活後に着替えを終えた花巻がいつものメンバーを誘った。
「あっ、私今日はパスで!」
「えっ!?ひろか行かねぇの?」
「今日は…デートなんで!!!」
「「デート!?」」
一瞬にして静まり返った後に、岩泉が口を開く。
「ひろか、お前余計な事言うな」
照れて真っ赤になっている岩泉の顔を見て、まさか…と、そこにいた全員が息を飲んだ。
「無事岩泉先輩とお付き合いすることが出来ました!!昨日は私の恋を援護するために皆さん頑張って下さったんですよね?本当に感謝です!!!」
そう言って満面の笑みで笑うひろかを見て、誰一人、二人の邪魔をしようとしていたなんて口が裂けても言えなかった。
「それじゃぁ、お先に失礼します!」
先に部室を出て行くひろかと岩泉を見送り、部員達は呆然と立ち尽くした。
「俺らって援護してたの?」
「待ってくださいよ、先輩っ!」
ひろかは先を歩く岩泉の腕にしがみつく。
「お前、そんなベタベタすんな!学校だぞ、ここ」
「えぇ?昨日は私の家のご近所で堂々とキスしたくせに~」
う゛っと身体を固める岩泉を見てひろかは笑った。
「なんか、岩泉先輩と付き合えたことがまだ実感出来なくて。あれって、私の夢や妄想じゃないですよね?」
さっきまで笑っていたひろかの顔が少し濁った。
岩泉はそんなひろかの頭をくしゃっと撫でた。
「んなわけねぇーだろ。俺の一世一代の告白を何だと思ってんだ」
「先輩・・・」
ひろかは頭の上に置かれた岩泉の手を取って、自分の頬に押し当てた。
「幸せすぎて、私明日死んじゃうかもしれません」
「バーカ。死なせねぇよ」
岩泉はひろかの頬にある自分の手でひろかの顔を上に向けて、ゆっくりと顔を近づけた。
「・・先輩、ここ、学校・・・」
「・・・関係ねぇよ」