第74章 【岩泉 一】私の言う事は・・・?
ドガッ!!
「痛ってぇ・・・」
唇が触れるか触れないかの所で、岩泉の頭にボールが飛んできた。
「岩ちゃん、ここは学校です。風紀が乱れます。これは主将命令です」
ボールと声が飛んできた方を見ると、そこのはバレー部のみんなが立っていた。
「おまっ・・・」
岩泉はバッとひろかから離れ、顔を赤く染めた。
「及川先輩・・・」
すると、ひろかが口を開いた。
「昨日の命令まだでしたよね?・・・せっかくいい所だったのに邪魔しないでください。皆さんもです。それが私の命令です」
「えっ、だってひろかちゃん!ここ学校だし、風紀が・・・」
「私が言う事は・・・?」
目が座っているひろかに一同は凍りつく。
「「・・・ぜったーい・・・」」
「分かればよろしい」
そう言ってひろかは再び岩泉の方を向いた。
「さぁ、先輩!邪魔する人はいなくなりました!!どうぞっ!!」
「そっ、そんなこと言われて出来るわけねーだろっ!!」
岩泉はそう言い放って、ズカズカと校門へ向かって行く。
恐る恐る顔を上げた部員たちは、ひろかの表情を見て再び震え上がった。
「ごめん!ごめんね?何でもいう事聞くから!ね?」
ビビった及川がそう言うと、ひろかはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「これからもずっと、私の言う事は・・・?」
「「・・・ぜったーい・・・」」
よろしい。と言って、ひろかは先に行く岩泉を追った。
「ねぇ、ひろかちゃんってあんな怖いの?」
「あの目やばくね?」
「怖い・・・怖い・・・」
その日以来、二人の仲を邪魔する者はいなかった。
そして、ひろかの言う事は絶対。という部内ルールが出来上がった。
TheEnd