第74章 【岩泉 一】私の言う事は・・・?
「なっ、何で!?ひろかちゃん何で?岩ちゃんのどこがカッコイイのさっ!!」
「えっ!?だって、あんなに堂々と歌えるなんてすごい男らしくないですか!?ちょっと上手いからってカッコつけて歌う男よりずっとカッコイイです!!」
ひろかはそう言うと、岩泉の隣に座って次の曲のリクエストまでし始めた。
「…おい、及川。話が違うじゃん」
「なんか、上手く歌った俺たちの方が評価下がってる気がするんだけど…」
「俺に任せろって言ったじゃないですか」
「うぅ…じゃっ、じゃぁ次は・・・」
カラオケを早々に切り上げて、今度は1階にあるゲームコーナーに向かった。
「これやろうよ!対戦方式で!!」
及川が指差したのはよくある対戦型格闘ゲーム。
グー・チョキ・パーで対戦相手を決めて対戦し、勝った者がまた対戦するとルールが決まった。
第一回戦は、及川VS国見、松川VS岩泉、花巻VS金田一になった。
「岩泉先輩頑張って下さいっ!!」
もちろんひろかは岩泉の後ろに立って応援をしていた。
「まっつん頼むよ?」
松川はコクンと頷いた。
このゲームは松川の得意分野。部内一強いのだ。
「大丈夫。岩泉めっちゃゲーム下手だから」
花巻が親指を立てて、ウインクする。
だよね。と及川も笑った。
「ちょっ!国見ちゃん、それずるい!!」
ゲームがスタートすると、さすが男子と言えばいいのか。当初の目的を忘れて、ゲームに夢中になってしまう。
「えっ、待って!これどうすればこの技出んの?」
「あぁ、そこはこのコマンドを…」
花巻の背後に松川が立つ。
そう、すでに松川と岩泉の対戦は終わっているのだ。
「まっつん!国見ちゃんが嫌らしく攻撃してくる~!助けてっ!!」
今度は及川の背後に立ち、何かアドバイスをする。
かなりの接戦で、決着が着く頃にはみんなゼーハーしていた。