第71章 【菅原 孝支】男の子
「菅原…」
「ん?」
「何でストラップ取っちゃったの?」
ズッと鼻をすすりながら、菅原を睨みつけた。
「あぁ、あれか?朝見たらパーツが取れそうになってたからだけど…」
「私とお揃いが嫌になったわけじゃないの?」
何言ってんだよ、って困ったように笑う菅原。良かった。心の底から安心した。
「私、菅原に彼女が出来たらイヤだ。他の女の子に髪を触らせたくないし、清水さんに鼻の下を伸ばしてる菅原見るとムカつく」
「はっ!?鼻なんて伸ばしてないだろっ?」
このっ!と、菅原は私の頭にチョップをして笑った。
「なんか、菅原のバレー姿を見てカッコイイと思っちゃうし、目が合ったらドキっとするし、逸らされたら泣きたくなる」
私はまたズっと鼻をすすり、大きく息を吐いてから口を開いた。
「友達として菅原が好きなのか、男の子として菅原が好きなのか分からない。もしかしたら、好きって言われたら意識しちゃってるだけかもしれない。わかんない…」
私がそう言うと一瞬止まって、すぐ後に菅原が笑い出した。
「恋って勘違いから始まるらしいよ。この人のこと好きかも?可愛いかも?カッコイイかも?って思って、それが好意だと勘違いして恋が始まるって誰かが言ってたんだ」
「・・誰よ、そんなこと言ったの」
「どっかの大学の偉い教授?」
適当…。私がボソっと言う。
少しの間が開いて二人で笑った。