第70章 【菅原 孝支】今日俺は友達を失う。
「繋心さん、喜ぶべ。女子高生に告白されたら!」
「もうっ!菅原!!他人事だと思って~!」
羨ましい。素直にそう思った。
好きだと叫べる彼女を。
「澤村は?叫ぶことないの?今日だけだぞぉ?」
佐藤がそう言って大地に発破をかけた。
「俺か…?うぅーん。・・・絶対全国行くっ!!」
「出た。バレーバカ!」
「今の流れは好きな人を叫ぶんじゃないの?ねぇ、理香?」
女子達からクレームを受けた大地が困った顔で笑っていた。
俺たちはまた空を眺めた。
すごく澄んでいて、手を伸ばせば雲だって掴めそうだ。
「わぁぁぁぁーー!」
いきなり声をあげて、佐藤が走り出す。
俺も続いて走った。
「わぁぁぁぁぁ!」
いつの間にか4人で叫びながら屋上を走っていた。
今、どさくさに紛れて、佐藤が好きだって叫んだらどうなるかな。そんな事を考えながら、走り続けた。
「何やってんだろうな、俺たち」
息を切らしながら、俺たちは笑った。