第69章 【月島 蛍】君の涙があまりにも美しくて僕の心は黒く染まった。
秋が過ぎ、冬になる。
部活でクリスマスパーティーをすることになり、プレゼント交換のための買い物にひろかと一緒に街に出ていた。
ネットで適当に買えばよかったんだけど、ひろかの好みを知りたかったから買い物に誘った。ひろかに個別でプレゼントを用意しようと思っていたから。
「男の子へのプレゼントって難しいなぁ…やっぱり部活で使える物がいいかな?」
ひろかはスポーツショップで頭を抱えていた。
「まぁ、無難にタオルとかでいいでしょ」
僕がそう提案すると、色とりどりのスポーツタオルの前で足を止めた。
「そうだね!あとは色かぁ~。あっ、これがい・・っ!」
ひろかが手を伸ばしたのはオレンジ色のタオル。
澤村キャプテンのTシャツの色と同じ色。
「・・・やっぱ、こっちにしよう!」
咄嗟に指先の方向を変えて、黄緑色のタオルを手にした。
「月島くん色でしょ、これ」
へへへと笑いながら僕の方へ差し出した。
「それ、僕に当たるかわからないでしょ」
「それもそっか!・・・でも、これにする」
レジに向かう彼女を見て、ため息をつく。
あともう少しかな。
オレンジ色から黄緑色に染まるのは。