第69章 【月島 蛍】君の涙があまりにも美しくて僕の心は黒く染まった。
次の日から、僕はいつも澤村キャプテンが使っていたビブスを使った。
上書きしてあげるよ。
あと2年で澤村キャプテンのビブスから、月島蛍のビブスにさ。
「ひろか、部室掃除したい」
「・・・うん、いいよ?」
部室をキレイにした。
澤村キャプテンを思い出すような物は全部処分、もしくは見えないところに隠した。
「縁下さん、僕荷物置き場こっちに移動してもいいですか?」
澤村キャプテンが使っていた棚に自分の荷物を置いた。
ひろかが無意識に目の行く場所に常に自分がいるように。
毎日ひろかと一緒に帰った。
坂ノ下商店で肉まんも買った。
「ねぇ、月島くん」
「なに?」
「次のお休みに、買い物付き合ってくれない?そろそろ古くなってきた備品もあるから買いに行きたくて…」
少しずつ、ひろかの中の僕のテリトリーが増えていった。
「なぁ、なぁ!月島とひろかって付き合ってんの?」
「日向には関係ないでしょ」
周りの声に特に否定しなかった。ひろかだって笑っているだけで否定はしなかった。