第69章 【月島 蛍】君の涙があまりにも美しくて僕の心は黒く染まった。
「すみません、遅れました」
僕たちは集合場所へ戻った。
目を腫らしたひろかは僕の後ろに隠れるように歩いている。
「・・・ひろか?いいからこっちに来い」
澤村キャプテンの声にビクッと身体を反応させて、僕のジャージの裾を掴んでいた手に力が入る。
はぁ。とため息をついた後に澤村キャプテンがひろかの元へ行った。
「ひろか、ありがとな」
あぁあ。せっかく僕が泣き止ませたのに。
あなたの言葉でひろかがどうなるかくらいわかるでしょ。
案の定、ひろかはまたわんわんと泣き始めてるし。
僕のジャージを掴んでいた手が今では澤村キャプテンのジャージに移動されている。抱きつかれながら困った顔をしているキャプテンを見て、僕は目を逸らした。