第67章 【東峰 旭】Unstable us.
次の日、ベッドを出て鏡を見ると、そこに映っていたのは覇気のない私の顔。
少し目は腫れているけど、目をこすらなかったので思ったよりは腫れていない。
“ ひろか先生、そんなに目を擦ると、腫れちゃうんじゃ・・・”
初めてキスをしたあの日、東峰くんがそう言って私を抱きしめてくれたんだっけ…。
ダメだ。
また涙が出てきちゃう。
今日は土曜日。このまま家にいたらきっとマイナスな事しか考えられない。そう思って、出かける準備をした。
「あれ?佐藤先生、どうされたんですか?」
私は次の授業に向けての準備をしようと学校に来ていた。職員室はガラっとしていて、部活の顧問をやられている先生達がちらほらいるくらいだった。
「次の授業の準備をしようと思いまして」
私がそう言うと、熱心ですね。なんて声をかけられる。東峰くんの事を考えないように仕事をしに来たなんて言えない。私はハハと笑って、職員室を出た。