第67章 【東峰 旭】Unstable us.
「佐藤さん!こっちこっち!!」
週末の今日は教育実習で一緒だった先生2人との飲み会。
「どう、赴任先は!」
私達はお互いに仕事の悩みや愚痴を言い合った。
「そう言えば、私今日生徒から告白されたの」
そう言ったのは養護教諭となって高校に赴任した福山さんだった。
「えっ…それでどうしたの?」
私は彼女の答えを期待した。もし彼女も同じ状況にいるなら、共感出来る話が出来るかもしれない。そう思っていた。
「断るに決まってるでしょ!生徒は身近に接する異性の中で、大人な教師に強く惹かれるだけなんだよ。なんて言うの?あの年代にありがちな大人への憧れ?大人なら誰でもいいのよ、きっと」
彼女の言葉が私の心臓を突き刺す。
「ほら。私の場合、仕事上身体に触れる事もあるし、悩みを聞いたりもするでしょ?すると、好きだと勘違いしちゃうのよ」
東峰くんにとって、私は身近に接する異性の中で大人。東峰くんの好きは単なる大人への憧れなの?私じゃなくてもよかったの?
あの日身体が触れてキスをして、好きだと勘違いしたの?
そんな事を思うと喉の奥がきゅーっと狭くなる。
「そう言えば佐藤さん、彼氏出来た?」
「えっ、いや。出来ないかな」
「はいはーい!私は来年結婚することになりました~」
まさかの報告に私たちは身を乗り出した。
「佐藤さんも早くしないとあっという間にオバサンになっちゃうぞ」
私はハハハと笑って、いつもよりたくさんのお酒を飲んだ。