第63章 【月島 蛍】僕は君が大っ嫌い。
「おーい!早く上がれよ~」
部活を終えて部室で着替えをしていると、いきなり外がピカっと光った。
その後数秒開けてゴロゴロゴロという音がする。
「わぁー、やっぱ来たか」
菅原さんが窓から外を覗く。
ザーッという音も加わり、一気に外がうるさくなる。部員たちは傘を持ってきた持ってきてないで騒ぎだし、キャプテンが置き傘と言う名の、誰かが前に忘れて行った傘を探す。
僕は朝の天気予報をチャックしていたので、もちろん傘を持っていた。
傘を忘れて焦っている部員達を鼻で笑って、僕は山口と一緒に部室を出た。
「あれ?ひろかちゃんいないね?」
いつもは部室前で会って自然と一緒に帰っていた。別に約束をしていたわけではない。僕は行くよ。とキョロキョロしている山口を置いて歩き出した。
「日向さ、降水確率80%だったのにチャリで来たらしいよ」
「バカでしょ。ちゃんと天気予報確認しないか・・ら」
日向の話をしているはずなのに、僕の脳裏にはひろかの顔が浮かんだ。
「山口、忘れ物したから先に帰ってて」
僕はもう一度学校へ戻った。
どうせ君の事だから、天気予報なんてチェックしてないんでしょ。着替え終わって外に出ようとしたら雨がすごくて、下駄箱の前で困ってるんでしょ?