第61章 【烏野3年トリオ】卒業
「ひろか~元気でね~」
教室で友人たちと最後のお別れをし、私は第二体育館へ向かった。
「ひろかさ~ん!」
西谷と田中が大きな声で私を呼んでいる。
私は駆け足でバレー部のみんなが集まる場所へ行った。
「ひろかさん、これ俺たちからの気持ちッス!」
後輩たちが私に紙袋を手渡した。
中を開けると、そこにはTシャツが入っていた。
ピンクの生地にホワイトの文字で「烏野高校排球部」と大きく書いてあり、バレーボールのイラストの中にはみんなの名前が書かれていた。
主将:澤村大地
副主将:菅原孝支
エース:東峰旭
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2年、1年の名前もすべて書かれた後。
終身名誉マネージャー:佐藤ひろか
「なにこれ・・・」
「えっ!?ダメでした?」
「だから言ったじゃないですか。佐藤先輩引くって…」
私の言葉に田中と月島が言い合いを始めた。
終身名誉マネージャーか。
私は制服のブレザーを脱いで、ブラウスの上からTシャツを着た。
「似合う?」
「「・・・はいっ!!」」
後輩たちは嬉しそうに笑ってくれた。
それから私たちは写真を撮ったり、色紙をもらったりしながら過ごし、部活が始まる時間になったので解散した。
私は一人体育館裏へ足を運ぶ。
「卒業か・・・」
まだ全然実感がない。
明日からはここは私たちの場所ではなくなる。
そんな後ろ向きな事しか考えられず、
私は大きくため息をついた。