第57章 【二口 堅治】Little Red Riding Hood
「なんで、二口くんは力が強いの?」
「それは、ひろかさんを逃げられないように押し付けるため」
「なんで、二口くんは強引なの?」
「それは、ひろかさんを自分の物にするため」
「なんで、二口くんのキスはそんなに優しいの?」
「それは、ひろかさんを誘惑するため」
そう言って、彼は何度も私にキスをした。
私は彼の優しいキスに誘惑されるんだ。
夢中で彼の動きに合わせ、夢中で息継ぎをする。
頭がクラクラして、何も考えられなくなる。
部屋の壁越しに重低音を感じ、時折部屋の外から聞こえる会話に、今私達がしていることがバレるのではないかという緊張感が走る。
けど、それさえもあっと言う間にかき消されるんだ。