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【★ハイキュー!!★】短編集

第56章 【及川 徹】恋は自己愛



コンコン

「徹?今、大丈夫?」

ドアのノック音と姉さんの声が聞こえる。

「大丈夫だよー」

お邪魔しますって、姉さんは小脇に缶チューハイを抱えて入ってきた。

「お父さんとお母さん寝ちゃったから、ちょっと付き合ってよ」

「はいはい、お姉さま」

姉さんはクスクスと笑って、クッションの上に座る。

最近の猛の成長ぶりや、
俺の部活のこと、進路のこと。
たわいもないこと。
二人で話した。

「久しぶりにこんな笑ったかも!」

「なに?兄さんとうまくいってないの?」

そんなんじゃないですー!って舌を出し、また笑った。

「徹と猛を見てると、昔のあの人と徹を見てるみたい」

「そんなに年の差ないでしょ!」

「まぁね。でもあの頃もすっごく楽しかったよね」

昔からよく3人でいた。
年が離れていたから、幼馴染っていうより、
3人で兄弟って感じで、
バレーの楽しさを教えてくれたのも二人だった。

「あの人、いっつも徹に敵対心むき出しでさ。大人気なかったよね」

「俺が姉さんをお嫁さんにするって言ったら、めっちゃ怒ってきたよね。まだ小学生の俺に」

「あった、あった!そんなこと!」

姉さんはもう一本の缶チューハイを開けた。

「今日はよく飲むじゃん」

「子育てと家事から解放されて、今はママでも妻でもなく、一人の女だからね」

プシュッと缶を開ける音と、喉を通るゴクゴクという音が部屋に響いた。
姉さんはお化粧も取って、きれいに巻いていた髪の毛もお風呂上がりでストンと下に落ちている。
その姿を見ると、一緒に遊んでいた頃の姉さんに戻ったみたいで少し安心する。






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