第51章 【灰羽 リエーフ】コンプレックス
「おい、リエーフ!そろそろロードワーク始めっぞ!」
その時、バレー部のみんなが私たちの元へ来た。
さっきいなかったモヒカンの彼が私たちを見て口を開いた。
「リッ、リエーフこのやろう!!お前、他校生のしかもそんな美女と・・・!生意気だっ!!!」
「何、お前ら付き合ってんの?」
トサカヘットの彼がニヤけた顔でこっちを見る。
「付き合ってな・・・」
私が否定しようとした時、リエーフが私の前に立って、肩に手を置いた。
「そうだな・・・」
いきなり私の全身をジロジロ見始め、うん。と頷いた。
「付き合うか!!!」
「はぁ!?背の小さい子が好きだって言ったじゃん!」
ふざけないで。冗談でもそんなこと言わないで。
神様なんて大っ嫌い。
「お前ちいせぇな!」
そう言って私の頭に手を乗せた。
「チビで可愛い!!俺の好み!いや・・・出来ればあと2センチくらい伸びた方が俺的にはいいかな?お前、もう少し大きくなれ!」
チビ?私が?
可愛い?私が?
もう少し大きくなってほしいの?私が?
「確かにリエーフの身長だと、彼女くらいの身長ないと不自然だよな」
「だな。二人並ぶとすげぇバランスいい!」
バレー部のみんなが私たちを見てそう言う。
「いや、あと2センチ!ひろか、2センチ伸ばせ!」
「外見しか見ないなんてバッカみたい!最低!!」
「しかたねーじゃんか!外見は大事だ!!」
その後、リエーフは先輩に引っ張られてロードワークに行ってしまった。
バッカみたい。
“お前ちいせぇな!”
“チビで可愛い!!”
“二人並ぶとすげぇバランスいい!”
私はニヤけた顔を元に戻すことが出来ずにいた。
バッカみたい。何喜んでんの。
外見だけ褒められたって・・・。
ううん。
今の私には一番嬉しい。
可愛いなんて初めて言われた。
チビって初めて言われた。
バランスがいい。
初めて身長が高くて良かったって思った。
神様、ありがとう。