第50章 【澤村 大地】性癖
「決してイケメンじゃない所、決して高身長ではなく、中肉中背なところ」
「おい!やっぱからかってんだろ!!」
怒っている彼をもちろん無視し続け、私はまた口を開く。
「入学当初から代わり映えの無い髪型とかもすごく好き」
「おっ、お前な…」
彼は自分の髪をくしゃくしゃとした。
「今頭をかいている筋肉質な太い腕も、少し黒い肌の色も、広い肩幅も、厚みのある胸板も好き」
明らかに彼は動揺している。もう、私の独壇場だ。
「主将とかやってしっかり者キャラのくせに結構ヤンチャしちゃう所も可愛い」
「どんなに仲良くなっても、私をひろかって呼んでくれない所も嫌いじゃない」
「私がカッコイイって言っても全く信じてない所も好き」
「思春期のくせにいつも男子とばっかいる所も好き」
「あと、グラビアは正統派の巨乳が好きな所も好き」
「おっ…まえ!なんでそれをっ!!」
「まだ、言ってほしい?」
「もうやめてくれ…」
彼は顔を真っ赤にして、俯いたまま私にストップと言った。
「私がこんなに好きアピールしてるのに気づいてくれない所も好き…」
「だから、もう勘弁してくれ…」
「澤村、好きだよ。私と付き合ってほしい」
彼はしばらく無言で、目線をキョロキョロさせていた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!お前のことそういう風に考えたことなくて…」
「でもさっき、私に告白されて断るやつはいないって言ったじゃん」
「そっ、それはそうだけど。・・・1日だけ考えさせてくれ!」
「・・・分かった」
私はそう言って教室を出た。