第47章 【黒尾 鉄朗】ヒーロー ~You're my hero~
今日は大学の合格発表。
俺は一人で大学に来ていた。
ひろかにはここを受けたとは言っていない。
なんとなく…、男のどうしようもないプライドだ。
ずらっと並ぶ数字の中から自分の受験番号を探す。
「・・・マジかよ」
何度も確認を取った。
けど、間違えなく俺の受験番号が書かれていた。
合格に一番驚いたのは自分自身だった。
数時間後、ひろかから合格したというメールが入り、自分の合格よりも喜んだ。
親父さんに報告もあるだろうし、夜に電話する約束をしてメールを終えた。
電話の時に俺もN大合格したって言ったら、ひろかどんな反応すっかな?俺はいろんなひろかの反応を想像して楽しんでいたら、あっという間に夜になった。
ピピピピ
携帯が鳴り、急いで画面を見ると、ひろかではなく“ひろかの親父さん”の文字が表示されていた。
「もっ、もしもし?どーしたんスか?」
「ひろか!!ひろかが…!!どっどうしよう!」
俺は親父さんを落ち着かせて話を聞いた。
「ひろかが急に家を飛び出した!?」
「携帯も繋がらなくて…俺が悪いんだ、俺が…」
「親父さん落ち着いて!あいつの行くところ…」
ひろかが行きそうな所を考えてもみたけど、宮城で行く場所なんて分かるはずもない。
「親父さん、探し回って結構経ってますよね?家に戻ってるかもしれないし、一度戻ってみてください!」
親父さんはすぐに電話を切った。
俺はすぐにひろかに電話をしたけれど、機械の声が俺たちの繋がりを遮った。
「・・・澤村だっ!」
俺はすぐに澤村に電話をした。
「澤村!?今どこにいる!?」
「さっきひろかから電話があって、そこに向かってる!」
走りながら話しているせいか、澤村の声ははぁはぁという息遣いと共に聞こえてきた。
「・・・澤村頼む。あいつの傍にいてやってくれ。そして、親父さんが今家に戻ってる。ひろかを連れ帰ってくれ」
「分かった」
俺は電話を切って、携帯をぐっと握りしめた。