第46章 【黒尾 鉄朗】ヒーロー ~試練~
俺たちが向かったのは海の家。
今日は音駒バレー部みんなで海の家に集まったのだ。
「ひろかさんって、研磨さんの従兄妹さんなんですよね?全然似てないっすね!」
「苗字が違うってことは、お母さんの方の従兄妹ってことか…」
合宿中に聞けなかったひろかのことを一年達が質問攻めにしていた。
「うぉーー!でもひろかさんが居てくれた合宿は最高でしたーー!!」
「「うるせー、山本!!」」
感極まって泣き出す山本を、俺と夜久が黙らせる。
海は相変わらず呆れて笑っていた。
時間が経つのは早いものであっという間に夜になった。
「今日お泊り会にしましょうよ!」
今では誰が言い出したのか覚えていないけど、男子高校生が一度盛り上がると、そう簡単に覆せない。
嫌がる研磨をひろかがなだめていた。
「誰か買い出しに行ってもらおうかな」
海がそう提案すると、ひろかが手を挙げた。
「私行くよ!色々買いたい物あるし!」
「俺付き合います!!」
犬岡がそう言うと、周りの奴らも挙手し始めた。
ただ、ひろかと一緒に買い物に行きたいだけだろ。
俺はしばらくその様子を見ていた。
「・・・その、色々買うの見られるの恥ずかしいし…」
さっきまでぎゃーぎゃー騒いでいたみんながいきなり顔を真っ赤にして黙り始めた。
そりゃそうだ。男じゃないんだから、泊まるということは下着やらなんらやを買わなきゃいけないのだ。さっきのひろかの発言でそれに気づかない奴はいないだろう。
「・・・ひろか、行くぞ」
俺が立ち上がると、ひろかはごめんね。と言って俺の後をついて来た。
「なぁ、研磨。あいつらって本当に付き合ってないのか?」
「・・・知らない」