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【★ハイキュー!!★】短編集

第46章 【黒尾 鉄朗】ヒーロー ~試練~


合宿最終日、俺はひろかを呼び出した。

ひろかが宮城に戻りたくないって泣き出して、俺はただひろかを抱きしめるしかなかった。

“ひろかは甘えん坊の泣き虫だから、クロくんが守ってあげてね”

“俺が守ってやるから心配するな!”

俺は今、あの約束を守れていない。
毎日どんなに電話をしても、傍に居てやれない。
あいつの泣き場を作ってやれない。

「おばさん…ごめん。力不足だ…」

自分の不甲斐なさに、胸が締め付けられる。



ガサっ

「澤村!?」

ひろかをなだめて部屋に戻した後、澤村が俺の前に現れた。澤村の表情から、さっきの俺たちのやり取りを見ていたと分かった。

まだ、出会って間もないけど澤村のことは尊敬していた。
俺に持っていないものをたくさん持っていた。

戦隊物のヒーローだって、レッドだけじゃない。
ブルーやブラック、イエロー、ピンクがいる。



俺で力不足なら、仲間に頼ってもいいよな、おばさん。



俺は澤村にひろかの事を話して、向こうで支えてやってくれと頼んだ。澤村は俺の代わりが務まるか?と心配していたけど、俺は澤村なら大丈夫だと伝えた。





「澤村は…そうだな、ブラックだな」

澤村は、ジャージの色か?と困惑していた。
俺はそんな澤村を置いて部屋へ戻った。

「・・・本当はスーパーマンみたいに一人で守ってやりたかったんだけどよ」

俺は下唇を噛みしめた。



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