第45章 【黒尾 鉄朗】ヒーロー ~約束~
高校に上がり、親父さんの意向でひろかは合宿などの際のみの臨時マネージャーになった。
ひろかに報告すると、喜んで勢いよく抱き着いてくるから、俺もすごく嬉しくなった。
普段から家事をしているひろかのマネージャーぶりは部員たちに大好評で、普段からも居て欲しいと懇願されるほどだった。
「ひろか~、卵焼きくれ」
俺がひろかの弁当から卵焼きをつまみ食いすると、ひろかが残しておいたのに!と怒り出す。
「アツアツね~、お二人さんっ」
クラス中が冷やかす。
これも計算済みだ。
高校に上がって更に可愛くなったひろか。狙う奴はたくさんいた。1年のうちから俺の存在をアピールしておかないと。
2年にあがり、俺は後輩の女の子から告白された。
「クロ・・・付き合うの?その子と・・・」
「あぁ、可愛かったしな~」
俺がひろかの反応を知りたくて、わざとにそう言うと、
ひろかは泣きそうな笑顔で俺を見上げた。
「そろそろ、クロ離れしなきゃかな?」
そんな顔で見るなよ。
「ばーか。付き合わねーよ。お前と研磨のコンビを相手するので忙しいんだよ、俺は!」
そう言って俺がひろかの頭をくしゃっとすると、ひろかは、そっか。と言って嬉しそうに笑う。
ひろかが俺の事を特別だと思ってくれているのは分かっていた。それは恋じゃないのかもしれない。
まだLikeとLoveの区別がついていない。
俺はとっくの間にLoveに変わっていたのに。