第43章 【澤村 大地】ヒーロー ~最後の文化祭~
澤村side
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「いらっしゃいませ~」
文化祭当日。俺たちは朝から休憩なしに働いた。
ひろかともお互い何かの作業中に目があって笑いあう程度。
「さすがに腹減ったな」
文化祭も終わりに近づいたころ、やっと空腹を感じられる余裕が出てきた。
「大地!佐藤さん!!」
俺たちはスガに呼ばれて、クラスの奴らの元へ行った。
「大地たち、休憩してないだろ?あとは俺らに任せて二人で最後回って来いよ!佐藤さんにとっては最初で最後の烏野の文化祭だしな」
俺はスガ達にお礼を言って、ひろかと一緒に最後の文化祭を満喫した。
終了のアナウンスが鳴って、俺たちは教室に戻った。
パンっ!パンっ!
「「大地、佐藤さんお疲れ様ーー!」」
教室に戻ると、急にクラッカーが鳴って、教室中が紙テープだらけになっていた。
俺たちは目を見合わせて驚いた。
「文化祭実行委員お疲れ!」
クラスのみんなが同じTシャツを着ていた。
「いつの間に作ったんだよ」
「2人には内緒でな!そして、二人だけ色特別なんだぜ?」
スガが広げたTシャツは、みんなと色が違って、腕の所には「実行委員」と書かれて紋章が印刷されていた。
「これ、最終日の最後の時間に着るのかよ」
「うちコスプレ喫茶だったから、着る暇ないだろ?」
俺とスガのやり取りに、クラス中が笑った。
「佐藤さんのも、どうぞ」
「烏野での思い出の一つにしてください」
Tシャツを受け取ったひろかはぎゅっとそのTシャツを抱きしめた。
「ありがとう・・・みんな、ありがとう」
そう言って泣き出すから、クラス中がもらい泣きをした。
「後夜祭が始まります。皆様、グラウンドへお集まりください」
アナウンスを聞き、生徒たちはグラウンドに出た。
「大地さ~ん!なんすか、そのTシャツ!カッコイイっすね!」
バレー部の後輩達が俺を囲む。
後輩達から解放されて、そろそろ花火が上がる時間に差し掛かった。
「・・・ひろか?」
俺は彼女の姿を探したけど、見当たらなかった。