第43章 【澤村 大地】ヒーロー ~最後の文化祭~
ピュ~ドンッ!
「やっぱり、ここか」
俺は図書館に来ていた。
電気がついていない図書館の窓からは花火がキレイに見えていた。
「・・・大地」
俺はひろかの横に立って、一緒に花火を観た。
窓の外からはグラウンドでの歓声が微かに聞こえる。
「大地。私ね、烏野に来てよかった」
花火の明かりで色を変えるひろかの横顔を見た。
「こっちに来たときは、自分の居場所はここじゃないって意地張ってた。でも、大地のおかげでここにも私の居場所が出来た」
そう言って、ひろかは俺の方を見て、ありがとう。と微笑んだ。
「こちらこそ、ありがとう」
「えっ・・・?」
「烏野に来てくれて!」
俺たちは笑いあった。
「花火終わっちゃったね」
空を見上げるひろかの横顔にまた俺は見とれてしまう。
ひろかは今何を考えてるのだろう。
何を見て、何を思うのだろう。
誰を愛して、誰のために涙を流すのだろう。
それが俺だったらいいのに。
どんどん俺の欲が大きくなっていく。