第43章 【澤村 大地】ヒーロー ~最後の文化祭~
ひろかside
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「ねぇ、クロ~?クロにとって私ってどんな存在?」
今日、大地からクロはどんな存在なんだって聞かれたから、その日家に帰ってクロに電話をした。
「・・・はぁ?何言ってんだ、お前」
クロは予想通りの答えを返してくる。
「ごめん、なんでもないっ!」
なんだよ、それ!ってクロも笑った。
「そんなことより、文化祭の準備はどうよ?」
「コスプレ喫茶やることになったよ!それでね、大地がね…」
私が最近の出来事をクロに話すと、クロが少し黙ってから口を開いた。
「・・・そうか。なんか、いつものひろかに戻ったみたいだな。きっと澤村のおかげ…だな」
「…うん。そうかも」
大地がいなかったら、私は今でも意地を張って一人孤立し、寂しい高校生活を送っていたと思う。
「澤村はお前にとってのヒーローだな」
「…ヒーロー。そっか、大地は私のヒーローか」
お前、そういうメルヘンチックなの好きだろ?ってクロがバカにしてきて、私が怒るとクロは笑う。
「お前、転入してから学校の事は一切話さないし、どーせ別れがつらくなるとか言って友達作ってなかったんじゃねぇかなって思ってよ」
クロには何でもお見通しだった。
「でもな、ひろか。こっちにいたってクラスの奴らと離れ離れになるんだよ。それでも会いたいと思う奴には時間を作って会うんだ。だから、何も心配しないで素のままのお前でいろよ?」
「・・・うん」
やっぱり、クロは私のヒーローだ。
口が悪いけど、いつも私のことを理解して、私の背中を押してくれるんだ。
私にはヒーローが2人もいるんだ。
そう思うだけで、すごく心強かった。