第43章 【澤村 大地】ヒーロー ~最後の文化祭~
「じゃぁ、実行委員からは以上です。質問あるやついるか?」
「はいはーい!なんか今年花火あがるって聞いたんだけど本当?」
HR時に俺らは教壇の前で連絡事項を伝えていた。
俺は初めて聞いた内容に慌てて生徒会から配られた冊子をめくる。
「大地、ここに書いてる」
「あっ、すまん、ひろか」
俺は彼女が指差した部分を読み込んだ。
「今年は、卒業生と町内会の援助があって花火があがる…みたいだな!」
俺がそう言うとクラス中のテンションが一気にあがった。
HRが終わり、俺が自分の席に戻ると数人のクラスメイトに囲まれた。
「なぁ、お前佐藤さんと付き合ってんの?」
「えっ、いや?」
「だって、佐藤さんお前としかまともにしゃべんないじゃん?」
「確かに。しかも、いつの間にか名前呼び…」
「悔しいーーー!佐藤さん超可愛いから狙ってたんだけど、話しかけても反応薄いんだよな…」
俺は周りの奴らの言葉に少し口元が緩む。
「たまたま一緒の大学目指してて、それで少し話すようになったんだ。それだけだよ」
「でも、前より佐藤さんの雰囲気変わったよな。前は近づきがたかったけど、澤村と一緒にいるようになってから、たまに笑うし」
俺は少し嬉しくなって、その日の夜はあまり眠れなかった。