第42章 【澤村 大地】ヒーロー ~夏合宿~
黒尾からの話だと佐藤は元々、音駒高校に通っていて、合宿の時だけはマネージャーのいないバレー部の手伝いをしていたそうだ。孤爪くんと従兄妹同士だったため、黒尾とは昔から仲が良かったと聞いた。
まさか、佐藤が音駒だったとは…と驚く気持ちよりも、黒尾達と楽しそうに過ごす本当の佐藤の姿を見て、胸が苦しくなる。あんな佐藤を俺は見たことがなかった。
「ナイスキー!」
次の日から音駒の側には佐藤が立っていた。
黒尾がスパイクを決めると嬉しそうに飛び上がって、黒尾も佐藤にVサインを送っている。
「ヘイヘイヘーイ!!音駒がマネちゃん登場で調子づいてきてるぜ!!でも負けねー!!」
木兎が言うように、おそらく佐藤は音駒バレー部のマドンナだったんだと思う。佐藤の喜ぶ顔が見たくて気合が入っている感じだった。
試合終了後も休憩時間には佐藤の周りにみんな集まっていた。
夕食後も黒尾達といたずらをしたり、マネージャー陣と楽しそうに話してたりして、普段とのギャップに俺たちは唖然としていた。
「佐藤さんって…あんなに笑うんだな」
「うちの学校ではクールだよな、佐藤さん」