第42章 【澤村 大地】ヒーロー ~夏合宿~
「ひろか!ちょっと顔貸せ!」
私はクロに呼ばれて外に出た。
「お前、いつまでこっちにいんの?」
「・・・明後日かな」
「そうか…」
考えないようにしていたのに、クロがそんなこと言うから涙が止まらなくなった。
「クロ…戻りたくないよ。ずっとこっちにいたいよ」
「おっ、おい泣くなよ。お前こっちの大学受けるんだろ?たった1年だ」
クロが私の後頭部に大きな手のひらを添えて、ゆっくり引き寄せてくれた。私はクロの胸に寄りかかった。
「クロ…、私…怖いんだ。クロ達と離れるの。いつか、私がいないことが当たり前になって私の居場所がなくなっちゃう…」
「ひろか…大丈夫だ。来年にはまた一緒にいられる。だから泣くな…」
な?と言って、クロは両手で私の涙を拭ってくれた。
これ以上泣くとブスになるぞ。と笑って見せるクロに私もついつい笑顔になった。