第41章 【澤村 大地】ヒーロー ~転校生~
「大地~!購買行こうぜ?」
昼休み、俺はスガ達と購買へ向かおうと教室を出た。
「あっ…さっ…澤村くん!」
廊下を歩いていると、急に後ろから声を掛けられた。
後ろを振り返るとそこには佐藤が立っていた。
「ごめん、先行ってて」
俺はスガにそう告げて、佐藤の元に駆け寄った。
佐藤から図書館以外で話しかけてくるなんて本当に珍しいから何かあったのかと心配になった。
「どっ、どうかしたか?」
俺が声をかけると、佐藤は少しモジモジしながら小さな声で話し始めた。
「次、進路指導らしいんだけど…進路指導室ってどこかわからなくて」
なんだ、そんな事か。と笑ったら、佐藤が少し拗ねていた。少しずつでいいから佐藤の色んな顔が見たい。そう思った。
俺は佐藤と一緒に進路指導室の前まで行って、帰りは大丈夫か?と聞くと、佐藤はコクリと頷いて進路指導室に入って行った。
「スガ、すまん。遅れた」
俺がその後でスガと合流すると、スガ達が少し驚いた表情で口を開いた。
「佐藤さんって、大地には話しかけるんだな」
「確かに!澤村以外と話してるところ見たことないな」
俺はそうか?と、とぼけながら話を変えた。
今の佐藤にとって、俺は他の奴らとは違う位置づけにいる。
そのことに少し優越感を感じていた。