第41章 【澤村 大地】ヒーロー ~転校生~
ひろかside
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「佐藤さん?次、進路指導だって~」
クラスの女の子が私にそう告げて去って行った。
進路指導室…どこだろう。
私は教室をキョロキョロと見渡して彼を探し、教室を出ようとしている彼を追いかけた。
「あっ…さっ…澤村くん!」
私が声をかけると、澤村くんは近くにいた友達に先に行くように言ってから、私の方へ来てくれた。
すごく心配そうにどうした?と聞いてきたので、進路指導室の場所を聞きたかっただけだとは言いづらくなってしまった。それでも聞かなきゃいけないと思い、小さな声で伝えた。
「なんだ。そんな事か!アハハハ」
少し安心したように彼が笑うから、私にとっては大ごとだもん…とふて腐れた。
それから彼は進路指導室の前まで送ってくれた。戻りの心配までしてくれる彼は正直今の私にとって、欠かせない存在になっていた。
ピロンっ♪
無題
ひろか!夏休みこっちに来ないのか?
みんな待ってるぞ!!
夏休み前、東京の友達からメールが入った。
私は父の承諾を得て、夏休みに東京に遊びに行くことにした。
夏休み直前、私は今日も澤村くんと図書館に来ていた。
「夏休みさ、東京に遠征合宿に行くことになったんだ」
彼は私の気持ちを察してくれて、教室では前と変わらず必要以上の事は話さない。
前と変わったのは図書館での座る位置。
いつからか、私たちは隣で勉強するようになった。
「・・・澤村くんって何部なの?」
「えっ?今さら!?」
ごめん。と謝る私に、ハハハと彼は笑った。
「バレー部だよ、バレー部」
「えっ!?」
私があまりにも驚くから、澤村くんは不思議そうにしていた。