第41章 【澤村 大地】ヒーロー ~転校生~
澤村side
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「今日は転入生がいるので紹介します」
高校での転入生は実に珍しい。
教室中がザワザワと騒がしかった。
教壇の前に立った彼女はどこか都会の匂いがした。
同じ制服なのに、着こなし方なのか、メイクの仕方なのか、他の女子とは少し違う感じがした。
「俺、澤村大地。よろしくな」
俺は隣の席に座った彼女に自己紹介をしたけど、反応は薄かった。
緊張してるのか?それとも人見知り?俺はなぜか彼女の事が気になっていた。
「あっ…佐藤?」
今日は体育館の整備のために部活が早く終わった。
4月になり、俺は高校3年。受験生だ。
俺は家に帰ってからでは寝てしまいそうだったので、図書館に寄った。
そこには一人で勉強をしている佐藤がいた。
俺に気付いた彼女はペコっと頭を下げてまた勉強に戻った。
俺は佐藤の座っていたテーブルの端に座り、教科書を開く。
2年の冬、佐藤は転入してきた時から、ずっとこんな感じだった。特に誰かと仲良くしたりする様子もなくて、どこか人を避けている感じがした。
女子からは都会人だからって気取ってる!なんて言われていた。
いつからか、俺は彼女が思いっきり笑う顔を見たいと思うようになっていた。
「・・・・・っ!!」
俺はいつの間にか図書館で眠ってしまっていた。
身体を起こすとスッと何かが床に落ちたのがわかった。
「これ…佐藤の…」
俺の肩にかけられていたのは、いつも佐藤が使っていたひざ掛けだった。
でもすでに図書館には佐藤の姿はなかった。