第38章 【東峰 旭】もう一度だけ・・・
それから、俺はひろかとの思い出の場所を回った。
いつも寄り道したファーストフード店。
100円のジュースで何時間も粘った。
一緒に行った初詣。ここで恋みくじを引くか二人で悩んで悩んで止めたんだ。不安になりたくなくて。
そして、ここが俺たちのいつもの場所。
ひろかの家の近くの公園。
ひろかを送って行く途中にあって、まだ一緒にいたいとこの公園でたくさん話をした。
ひろかは時々人がいるのにキスして?なんてワガママを言ってきた。そんなワガママも愛おしかった。
公園のベンチに座って、ひろかを想う。
どうしてひろかを手放してしまったのか。
単に俺が弱虫なばっかりに、勝手に被害妄想を繰り広げ、ひろかを傷つけた。
ひろかのことだ。すぐに彼氏が見つかる。
そして、俺の事なんてあっと言う間に忘れてしまうんだ。
そう思うだけで、自然と涙が出た。
苦しい。あとどれくらいこの苦しみを感じたら俺は救われるのか。
ファーストフード店でも神社でもこの公園でもひろかを探すけど、どこにもいない。
これからもずっと俺は居るはずのないひろかを探し続けるのか?
神様、もう一度だけ、もう一度だけでいいからひろかに会わせてください。
そんな事を星空を見て願う。
「本当、女々しいな…」
俺は涙を拭って、公園を後にした。