第38章 【東峰 旭】もう一度だけ・・・
ピピピピピ
「・・・ん」
携帯の着信音が鳴った。
画面にはひろかの文字。
俺はすぐに電話を取った。
「もしもし、旭?寝てた?」
ずっと聞きたかった彼女の声に、俺は焦って寝てない!と答えると、安心したように彼女はよかった。と言った。
「ごめんね、返事遅れて。今日サークルの飲み会で携帯見れなくて…」
全然問題ない。ひろかの声が聞けるなら何時だってかまわない。そう思った。
「ひろか、俺今日さ・・・」
ずっと話したかった今日の事。
それを伝えようとした時、受話器の奥から聞こえてくる賑やかな声。その中には男の声もあった。
「おぉ~い、ひろか!次行くぞ!」
「奥下も何やってんだ~?2次会はカラオケだ~」
ひろかは受話器の向こうですみません、今行きますと答えていた。
「ごめんね、旭。何か言った?」
「・・・いや、なんでもない。それより先輩とかに呼ばれてるんじゃないのか?行って来いよ!」
そう言って俺は電話を切った。
その後、ひろかからごめんねとメールが着たけど、返信はしなかった。