第38章 【東峰 旭】もう一度だけ・・・
そんな幸せな時間にも終わりが来る。
9月末まで夏休みとは言っていたけど、サークルやバイトの関係で1週間しかこっちにいない。
俺のお盆休みも終わったので、明日からはひろかもいない、いつもの生活に戻るのだ。
駅まで車で送り、最後の1分まで手を繋いだ。
新幹線に乗り込むひろかを映画のワンシーンのように引き寄せてしまいたい。そんなバカな事まで考えた。
「・・・じゃぁ」
彼女の寂しそうな顔を見て、俺も泣きそうになる。
「次の3連休、また帰って来るから!」
精一杯の笑顔で俺にそう言って、新幹線に乗り込む彼女を
俺は下手くそな作り笑いで見送る。
「家着いたら連絡して」
「・・・うん」
俺はひろかをぎゅっと抱きしめて見送った。