第31章 【日向 翔陽】犬男子×猫女子
10時になり、100円ショップが開店する時間のため、私達はパン屋を後にした。
澤村キャプテンから渡されたメモに書いてある品をカゴに入れていく。
「ひろかー!見て?これすげぇ!」
翔陽は買い出しを忘れて、アフロのカツラを被って遊んでいる。写真撮ってー!と少し離れた所から叫んでいた。
私は近くに寄って、スマホのカメラ機能を立ち上げる。
「ハイチーズ」
私はその画像を翔陽に見せた。
「早く買い出しに戻らないと、澤村キャプテンに翔陽が遊んでいるから、部活遅刻しますって送るよ?この証拠写真」
血相を変えて、私が持っていたカゴを奪い、行くぞと歩き出す翔陽。私がそっちじゃないけどね。と逆方向に歩き出すと、慌てて私の後についてくる。
買い物も終わって、大きな袋を二人で分けて持つ。
翔陽はさりげなく重い方を持ってくれる。ん?…さりげなくなのか、たまたま重い方を持ったのか?まぁ、いちお前者の方だと思っておく。
バスに乗り、二人がけの席に腰掛ける。
その隣に翔陽。膝の上にはさっき買った荷物。
翔陽がソワソワし始めた。
そんな翔陽が何を考えるのかは理解済。
私は荷物の影に隠れている翔陽の手に軽く触れる。
翔陽はちらっとこっちを見て、その手を握るんだ。
照れ笑いする翔陽に私も笑顔になる。
小柄な彼だけど、やっぱり男の子。私より大きな手に少し安心する。