第27章 【東峰 旭】年上の彼女
「じゃぁ~またね~ママ」
俺たちは店を出て、近くの公園へ行った。
「きゃはは~。たっのし~」
酔っぱらったひろかを初めてみた。
いつもは年上の女の人って感じだけど、今日はなんだか可愛かった。子供みたいにはしゃいでいた。
「ねぇ、旭~?今日楽しかった?」
「えっ、うん。すげぇ、楽しかった」
俺がそう言うとひろかはくるっと振り返って笑った。
「大人はね、楽しいんだよ。お金だって、ある程度自由に使えるし、お酒だって飲める。好きな時間に家に帰っても怒られない。大人は楽しいのです!でもね・・・」
ひろかは再び俺に背を向けて歩きだした。
「それでも、無性に高校生に戻りたいって思うことがあるの。どんなに楽しいことを経験しても、それでも高校生活の思い出を上回ることは出来ないの」
少し寂しそうにひろかは空を見ていた。
「だからね、旭。経った3年の高校生活、絶対に後悔しないように過ごして欲しいって思うんだ」
ね?とひろかは笑った。