第27章 【東峰 旭】年上の彼女
「あら!ひろかちゃんじゃな~い」
次に向かったのがひろかの行きつけだと聞いていたんだけど…。
「あれ~、素敵なお・と・こ」
そこはオカマバーだった。
「ちょっと、ママ~。これ私の彼氏だからダメ」
「なによ~、一回くらい味見させてよ~」
二人でケラケラ笑っていた。
「ママ、私いつもの~」
ひろかの前にはきれいなピンク色のお酒が運ばれてきた。
「彼は何?生ビール?」
「いえ、この子こう見えて高校生なんです」
「「えぇぇーーーーー」」
ひろかが俺が高校生だと言うと、店内にいた人達の視線が全部俺に集まった。
そして、いつの間にか他のお客さんとも一緒に話をするようになった。
慣れない場でウーロン茶を飲んでいると一人の男性客が俺にお酒を差し出してきた。
「兄ちゃん、飲みな!俺も高校生の時から飲んでたから大丈夫だ!」
お酒の力なのか、俺以外の大人はみんな顔を赤らめて、大したことでもないのにケラケラ笑っていた。
さっきも、お酒を飲んだら嫌なことも忘れられるんだ。と誰かが言っていた。
俺が差し出されたお酒を受け取ろうとした時。
「だ~め。未成年にお酒は提供できません!よね?ママ?」
と言って、俺からグラスを奪ってひろかが一気に飲み干した。
「代わりに私が飲みますから!」
「いいねぇ~!とことん付き合ってもらうぞ」
それから何時間経ったのか。
始めは緊張していた俺もママの気遣いもあり、その場を楽しんでいた。
仕事終わりにお酒を飲んで、バカみたいな話をして、なんか楽しそうだな。そう思った。