第27章 【東峰 旭】年上の彼女
「へぇ~、そんなことがあったのか…」
俺たちは部室を出て、坂ノ下商店の前まで来ていた。
「ひろかにとっては、俺の悩んでいたことなんて、本当にちっぽけなことだったんだろうけど、何も聞かずに見守ってくれてさ…」
俺がそう言うと、大地は店内に入りながら口を開いた。
「それってすごいことだと思うぞ?ついつい口を出したくなるよな。あっ、肉まん下さい」
「あぁ…。この時、俺はひろかじゃなきゃダメだって思ったんだよな」
そう言う俺を見て、大地が優しく笑った。
「ほら、へなちょこ旭が少したくましくなったお祝いだ」
そう言って肉まんを差し出した。
「え~、大地~?俺には~?」
「心配すんな。スガのも買ってある」
「やったー」
俺たちは肉まんを頬張りながらまた歩き出した。
「なぁ、大地、スガ…」
「ん?」
「俺さ、お前らとじいちゃんになっても肉まん食ってたいな」
「ぶはっ・・・!」
「なんだよ、それ~」
「はっ!?何だよ、いいじゃんか~」
「ハハハ…でも、そうだな」
「うん。俺もそう思う」
「・・・2人とも盆正月くらいは帰ってこいよ?」
「・・・あぁ。その時は旭の新居に泊めてくれるんだろ?」
「ひろかさんの手料理かぁ」
「おいおい、それはいちおひろかに確認取らないと…」
「なぁなぁ、結婚式は呼んでくれるんだろ?」
「その前にひろかさんに旭がフラれなかったらだけどな」
「おい、不吉なこと言うなよ~」
「「あはははは」」
「なぁ、写真撮らね?」
「おぉ、いいね~」
カチャ
「ぶはっ!男三人の写真ってむさ苦しいな」
「大地が言い出したんだろ?そんなこと言うなよ~」
「やっぱ明日清水入れてもう一枚撮ろうぜ?」
「だな」
「なぁ…俺、お前らと出会え…」
「「黙れ!!」」
「はっ!?」
「出た~。旭のセンチメンタルモード」
「やめろよ、卒業式じゃないんだし」
「うぅ・・・」
「残りの高校生活…後悔なく過ごそうな」
「「あぁ」」
ガヤガヤガヤ
「それでは、ここで新郎のご友人よりスピーチを頂きたいと思います。
新郎の高校時代からのご友人の澤村大地様、菅原孝支様、よろしくお願いします。
TheEnd
あとがきあり