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【★ハイキュー!!★】短編集

第4章 【岩泉一】空回りの恋


「ったく、及川の野郎。ふざけんな」

昼休み、部活のミーティングする予定だったが、
いつものファンの女の子に囲まれて、強制終了してしまったのだ。

中庭に出た時に、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「そんなんじゃないです!」

ひろかだった。


「じゃぁ、なんで及川くんといつも一緒にいるわけ?」

「幼馴染だか知らないけど、あんた邪魔なのよね!」

「あれか!幼馴染って立場利用して、及川くんに取り入ってるんでしょ!」

あれはたぶん3年の女子。
及川ファンの女だったはず。

「もし先輩方が及川先輩を好きなら、直接及川先輩に伝えればいいじゃないですか!」

「は?何生意気言ってんのよ!」

「もしふられて、気まずくなったらどーするのよ!」

ドンッとひろかの肩を後ろに押しやり、睨みつけていた。

「及川先輩は…徹ちゃんはそんなことしないっ!!」


それでも食い下がらないひろかに女子軍団達が腕を振り上げた。


バシッ!


「痛ってーな!何すんだてめぇーら! 」

「ゲッ、岩泉…」


我に返ったのか、女達はオドオドし始めた。

「2度とひろかに手出すな、わかったか?」


女達は黙ってて首を縦に降り、
走って逃げて行った。


「大丈夫か?」

「はじめちゃんこそっ!血出てるよ」

慌てて、ハンカチを取り出したひろかはそっと俺の唇を押さえてくれた。

「なぁ…こういう事よくあるのか?」

そうだね。と苦笑いしながら手当を続けるひろか。

「でも、慣れてるから平気だよ!」

俺に心配かけまいと精一杯の笑顔を見せた。

「はじめちゃん、ありがとう。かばってくれて」

あぁ。
俺はひろかの顔を見ずに答えた。


「教室戻ろっか!」


そう言って歩き出したひろかの手を掴んだ。

「ひろか。もし、あれだったらさ。
俺と付き合ってることにしないか?」

「えっ?!」

「いや、その、あれだ。フリだぞ?本当に付き合うとかじゃないぞ?
俺と付き合ってるって事にすれば、及川のファンの女達からの攻撃も少しはマシになるだろうし」

俺の提案に目を丸くして、
固まったひろか。

そして、少しの沈黙が破られた。

「…それだけは絶対嫌。」


そう言うと、ひろかは俺の手を振り払い去って行った。
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