第4章 【岩泉一】空回りの恋
「徹ちゃん遅いよー」
ごめんごめーん。と部室から出てきた及川。
「おっ、ひろかそのシュシュ新しく買ったの?」
シュシュ?
なんだそれ。
俺の頭の上に?マークが3つ。
それに気づいた及川がニヤニヤしながら、俺の方を見た。
「岩ちゃん、シュシュっていうのは
ひろかが髪を結んでる、これのことだよ?」
そう言って、ひろかを抱き寄せて、俺にひろかの後頭部を見せつけた。
「及川てめぇー!ひろかから離れろっ!」
「わぁー!岩ちゃんが怒ったー」
俺からの攻撃を避けるように校門へ向かう及川の背中に舌打ちをし、
ひろかの方を見ると
顔を真っ赤にさせて、手で顔を仰いでいた。
ひろかは及川の事が好きなのだろう。