第25章 【菅原 孝支】ファンファーレ
次の日も俺は少し早く登校した。
「佐藤、おはよう!」
俺が屋上に行くと、佐藤は手を振って迎えてくれた。
「なぁ、さっきの曲ってなんて曲?」
「市民のためのファンファーレだよ」
佐藤はそう言って、もう一度ワンフレーズを演奏してくれた。
「俺、佐藤の演奏する音好きだなぁ…」
演奏中の彼女には聞こえていない。
それをいい事に、俺は小さな声でそう言った。
「おっ、そろそろ大地が来る!じゃぁ、また」
俺がそう言うと佐藤から嬉しい言葉が返ってきた。
「うん。また明日ね」
それから、俺は毎日屋上に顔を出すようになった。