第23章 【赤葦 京治】俺って最強
「京ちゃん、ちゅーしよ?ちゅー」
んー!と彼女は唇を前へ突き出す。
俺がそっと唇をあてると、へへへと笑う
本当子供みたいだな、この人。
「ひろか、こっち来て?」
俺の膝の上で寝ていた彼女を起こして、
今度は膝の上に向かい合うように座らせた。
下から見上げる彼女の顔は結構気に入っている。
普段は見下ろしてばかりだから。
俺は彼女の首の後ろに手を回してグッと引き寄せる。
さっきまで子供みたいだった顔が
一気に大人の女性の表情に変わる。
彼女は両手で俺の頬を包み込み、
俺たちは唇を重ね合う。
「京治、キスうまくなったね」
彼女は微笑んで、ちょんまげにしていたゴムを外し、
くしゃくしゃと髪をかきあげた。
「お風呂一緒に入ろうか」
キスの仕方もベッドの中も彼女が教えてくれた。
全てが初めてだったんだ。
恋をしたのも、キスをしたのも、それ以上も…。
俺は彼女しか知らない。
“いつか、京ちゃんは他の子の所に行っちゃうよ。
だってまだ若いしさ。他の子も知りたくなる日が来るよ”
時々、彼女は俺にそう言う。
「・・・っ…!ひろかもう…」
「いいよ、我慢しないでも」
今日はお姉さまモード。
こないだは妹モードだったのに。
仕事をバリバリこなす彼女。
家でダメダメな彼女。
大人で、リードが上手なお姉さんの彼女。
子供っぽくて、俺がいなきゃダメな彼女。
年下の俺を苛めたくて仕方ない彼女。
俺に思いっきり苛められたい彼女。
他の子を知りたくなる日なんて来るんだろうか。
だって、今でも彼女を知り尽くせてないのに。
それに、こんな面倒くさい人
扱えるのは俺くらいでしょ?