第22章 【及川 徹】ふざけたあいつ
「俺、この話、好きなんだよね~♪」
そう言って、あいつは一冊の本を手に取っていた。
「ねぇ、佐藤ちゃんは恋愛ものとかは読まないの?」
あの日から、彼は毎日のように図書室に来るようになった。
「興味ない…」
私が答えると、彼はえぇー何でー?としつこく聞いてくる。
「恋なんてしたことないし、
読んでても理解出来ないから!」
あまりにもしつこく聞くから、
私は少し強い口調でそう返した。
「じゃぁさ、俺と恋してみる?」
彼はそう言って、いきなり私にキスをした。
「・・・っ!なっ・・・っ!
バカじゃない!するわけないでしょ!!」
「あ、赤くなってる~!可愛い~~」
彼はそう言って、図書館を出ていった。
「最悪…私のファーストキス…返せ」
次の日も彼は図書室に来た。
昨日の事は何もなかったかのように…。
私もここで気まずくすると負けた気がするから
平然を装った。
あいつは、私のおすすめの本を聞いて
その本を私の隣で読んでいた。
「これ面白いね!
佐藤ちゃんのオススメは本当外れない!」
本当うるさい。
…でも、楽しそうに読んでいるあいつを見て
私は少し笑ってしまった。
「佐藤ちゃん、笑ったら可愛いんだから
もっと笑った方がいいよ!」
っ!!
私は突然の彼の言葉に動揺を隠せなかった。