第19章 【西谷 夕】誕生日プレゼントは…
「ひろかはさ、高校の時どんなんだったんだ?」
夕くんは興味津々に私を見ていた。
「どんなって…」
私が考え込んでいると、体を前のめりにして
うんうん。と聞いていた。
「そうだな…。クラスは3年間5組だった。
担任はね、佐々木先生だったよ。
昼休みにも部活の練習に出てたから
4時間目の始まる前と、5時間目の終わった後の
空き時間の2回に分けてお弁当食べてた」
「すげぇーな」
「それから、当時マネージャー陣で
いつもお揃いのTシャツ着てたの。
部員たちがマネージャーにって作ってくれたんだよ」
夕くんはおぉー!と感動していて、
俺も作る!ってやる気を出していた。
「それからね~・・・」
私の思い出話を聞きながら、
その話に出てきた場所すべてを回ってくれた。
そして、最後に第二体育館に向かった。
鍵を預かっていたようで、
私たちはこっそり体育館の中へ入った。
「わぁ・・・」
私は言葉が出なかった。
ここには私の青春がいっぱい詰まっているんだ。
「ねぇ、ねぇ。ボール出せる?」
私の問いに待ってました!と言わんばかりに
夕くんがカギを揺らして見せた。
「私もね、少しは出来るんだよ」
そう言って、私は夕くんにトスを上げた。
キュッキュキュッ
あぁ、このシューズが床に擦れる音が好き。
夕くんは部室からシューズを持ってきて
少し一緒にバレーをした。