第19章 【西谷 夕】誕生日プレゼントは…
「絶対無理だってばーーーー!」
誕生日当日。
夕くんがおねだりしてきた誕生日プレゼントは
「制服を着て欲しい」だった。
まぁ、着るくらいなら…そう思って了承したのに、
今現在、私たちは夜の烏野高校前にいる。
「本当、無理!恥ずかし過ぎて死にそう!!」
24歳にとって、学生服はただのコスプレ。
しかもそれで外を歩かされるなんて
拷問でしかなかった。
「大丈夫だって!ひろかすげぇ可愛い!全然いける!」
夕くんは強引に校内へ入って行った。
「ちょっと…怒られない?」
私が不安そうに言うと、俺がついてっから。と
意味の分からないことを言ってくる。
「うわぁー!懐かしい…」
さっきまでの恥ずかしさや不安がどっかへいってしまった。
一気に高校時代へとタイムスリップしたみたいだった。
「なぁなぁ、教室入ろーぜ」
夕くんに続いて教室へ入った。
「ひろか、座って座って」
そう言って夕くんは椅子を引いた。
「ここは、俺の前の席だ」
そう言って、後ろの席に腰かけた。
「授業中、ひろかが前にいたら勉強どころじゃねーな」
アハハと笑い、黒板を見ながら頬杖をつく夕くん。
「私も夕くんが後ろだったら勉強にならないな」
「えっ!?マジで??」
「うん!・・・うるさくて」
なんだよーと拗ねる夕くんはとっても可愛かった。
「ねぇ、他も見に行きたい」
私たちは手を繋ぎながら校内を歩いた。