第2章 再会
荷物をほどきもせず、窓際に置かれたソファに腰を下ろす。先程よりは幾分マシだが、頭痛は止まない。鎮痛剤を持ってくればよかったと後悔する。少し横になろうかと考えているとドアをノックされた。
「どうぞ」
「失礼致しますお嬢様。鎮痛剤をお持ち致しました」
「彼」の世話役の荻野さんが鎮痛剤と水を持ってきてくれた。きっと「彼」の指示だろう。お礼を言って受け取ると薬を飲む。これでなんとかなるだろう。少し休むと言って荻野さんを下がらせた。
今回の滞在期間は3日,。初日からこんな調子では先が思いやられる。しっかりしなくてはいけない。
パーティーが始まる2時間前、私はドレスに着替え鏡の前に座っていた。「彼」が用意した美容師に髪とメイクを任せている。自分でやるつもりで用意してきたが、これも「彼」の配慮なのだろう。断る理由も無いので任せることにした。
準備が終わる頃を見計らったように「彼」が現れた。
「潮里.準備はできたようだね。とても綺麗だよ。やはり君には赤が似合う」
「恐れ入ります」
「お世辞だと思っているのかい?僕は本心から思っているのに酷いな」
「そんなことはありません」
「まあいい、今日はいつもより綺麗な君に免じて許してあげるよ。それじゃあ行こうか」
「はい」
しまったと思った時にはもう遅かった。今はハイヒールのせいでいつもより身長差が少ない。「彼」は私の横に並ぶと腰に手を回してきた。不快だったが振り払うことも出来ないまま、車に乗せられた。